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映画「鳩のごとく 蛇のごとく 斜陽」

昨年の秋、全国公開された「鳩のごとく 蛇のごとく 斜陽」
が、深谷シネマさんで今日から公開になりました。

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上映後、近藤明男監督や出演されていた光藤えりさん、主題歌を歌われた白石恭子さん、山村隆昭プロデューサーによるトークイベントもありました。

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青森県五所川原市(太宰治の故郷)や、山梨、静岡など、ゆかりの地でもロケがあったようですが、ここ深谷シネマさんのある七ツ梅酒造跡では、闇市のシーンが撮影されました。

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「斜陽」は好きな作品なので、エキストラに参加させていただき、そのときにご一緒した方と、その後も仲良くさせていただいています。撮影時に、公開されたら是非ここで一緒に観ましょうと約束をしていました。

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もちろん戦争を知っている世代ではありませんが、戦争が終わったという安堵感とともに、物がない、それでも強く生きなければという覚悟を持って人々は生き抜いたのではないか。撮影時は、そんなふうに想像しながら、ここに立ちました。

主人公かず子の弟、直治の遺書

『ママのかたみの麻の着物。あれを姉さんが、直治が来年の夏に着るようにと縫い直して下さったでしょう。あの着物を、僕の棺にいれて下さい。僕、着たかったんです。』

映画の中ではどのような台詞であったか、正確には覚えていませんが、後半になるにつれて、強くたくましくしたたかになっていくかず子に比べて、どうあがいても元貴族のお坊ちゃんでしかない直治の生きづらさは、胸に刺さるものがありました。

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お母様もそうです。
最後の貴婦人であるお母様は美しく生き、文字通り儚く消えていきました。

どんな仕事をしてでも、どうにかして生きてやろうという気力が見られないのです。でも、生き方に正解不正解はありません。
静岡に引っ越したとき、近所の人が「おままごとみたいだ」と言っていましたが、人間はみんな、地べたを這って頑張れるわけではなく、かといってみんなが諦められるわけでもない。そんな簡単に、自分の人生の答えなんて出せないのです。


「葉」という作品に
「死のうと思っていた。ことしの正月、よそから着物を一反もらった。お年玉としてである。着物の布地は麻であった。鼠色のこまかい縞目しまめが織りこめられていた。これは夏に着る着物であろう。夏まで生きていようと思った。」

という一節があります。
たったこれだけの言葉が、強く印象に残っているのは、私には、太宰の生への執着に思えるからです(本当のところは知りませんが)。

斜陽には上原という作家が出てきて、それがまるで太宰治なのですが、直治にもまた、太宰の要素が入っていると思います。


どうせドラマを観るなら、ハッピーエンドがいい。
と、昔も今も思うのですが、人生はそうはいきません。

そうはいかないことを知っているから、作り物のお話に、ハッピーエンドを求めるのかもしれません。
希望がなければ、どう生きればいいかわからなくなってしまうからです。
太宰における麻の着物のように、皆、自分で「希望」を見つけて生きているのです。「生」というものを強く意識しながら毎日生きているわけではないと思いますが。


沈んでいく太陽と母。

沈んでいく太陽を真正面から受け、立ち向かい、覚悟を決めたかず子。

同じ斜陽でありながら、その対比が悲しく、美しい。



深谷シネマさんでの上映スケジュールは下のリンクからどうぞ↓

深谷シネマさんHP
 
 
 
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