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想像力で補わせる和歌

お正月に向けてのディスプレイに和歌を書いたら(私が詠んだのではなく、大伴家持の歌ですが)、数名のお客様にいいねとおっしゃっていただきました。
(昨日は短歌と書きましたが、時代を考えると和歌と書くべきでした)

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正月(むつき)立つ 春の初めに かくしつつ 相(あひ)し笑(ゑ)みてば、時じけめやも

というもので、
正月を迎える春のはじめに、こうしてお酒を飲みながら、お互いに笑顔をかわすことは、時節柄ふさわしいことではないか。
と、言っています。
その光景は、誰もが思い浮かべられるのではないでしょうか。


和歌というのは、学校の授業くらいしか触れたことはないので、高尚でよくわからないものが多いなと思う一方で(思いこんでいると言ったほうが正しい)、口語訳を読んでしまえば、意外にも令和のこの時代を生きる私達にも、理解できるもの、わかりやすいものも多くあります。


でも、だからこそなぜこういったものが後世にまで残るのか。と考えると、読んでそのまま頭に思い浮かべた情景を、静止画でなく、動画で再生すると言いますか、更に香りや味もわかるくらいに、想像力によって美しい情景がみえるところまで補っているからだと思うのです。

現代と生活や環境は違うけれど、山や川、紅葉、月、鳥が飛ぶ様子などは、いつの時代も変わらずに思い浮かべることができるものです。鶯の声と書いてあればその声は聞こえるし、朧月夜と書いてあれば、春の霞がかった月が見えるし、梅の香と書いてあればふわっと香ってきます。


綺麗だと思うものを、綺麗でしょと人様に強要するのは違うけれど、
綺麗だと思うものを、誰かが綺麗だねと言っていると、同じものが見えているのだと、嬉しくなります。


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先日行った伯父宅の茶室では、円窓に映えるススキや、柄杓からこぼれる水の音、美しいものがあちこちに存在していました。
きっと皆さんがそれぞれ、同じもの、あるいは違うものに、美しさを見出していたに違いありません。


また、今日はその和歌を前にお客様とお話ししていたら、山が描かれた屏風に、外から入ってきた光が樹々の影を映し出し、ゆらゆらと揺れる様がとても美しく、ああきっとこういうことなのだと。文学的に書ける人であれば、その様子を短歌におさめることができるのだろうと。そんなお話をしていて、ただその瞬間を共有できることはとても貴重な気がして、誰かにとっては「どうでもよいもの」だからこそ、誰かと一緒に「いいね」と言えることに小さな幸せを覚えました。


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人それぞれ美しいと思うものは違うから、たとえば私なりに辞書に載せるならどう説明すればよいのだろうと考えたときに、その先に光が見えるようなものではないかなと思いました。希望が湧いてくるもの。なんだか幸せに包まれるような感覚になれるもの。


 
 
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