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ユージーン・スタジオ「新しい海」展.その2

昨日書いた、東京都現代美術館にて開催中、ユージーン・スタジオ「新しい海」展、感想の続きです。
私が書いていることは、美術館の解説の引用や、見たことの説明以外はすべて自分の感覚的なことなので、鈴木雅之さん風にいうと、違う 違う そうじゃ、そうじゃない!という感じで、アーティストの意思とは異なると思いますが、それでもよければお付き合いいただければと思います。

私も本当はどういったきっかけで、何を想い、造ったのかを知りたいですが、解説を読んでも私には難しくて理解できないことのほうが多いので、アートを気楽に楽しむためにも、鑑賞者が自由にとらえていいものだと思っています。

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若い方がピアノを弾いています。椅子に座って、見えない鍵盤を叩いています。映像は途中、何度か切り替わり、どこか別の国の男性も、同じ曲を、やはり見えないピアノで弾いています。
備え付けのヘッドホンからは、確かにピアノの演奏が聴こえてきます。

私たちは見えていなくても、音を聞くと、映像を想像の中に見ることが出来ます。
私たちは音が聞こえなくても、映像を見ると、想像の中で音を聞くことが出来ます。

どちらも不確かな想像でしかありません。


しかし、これまで見てきたもの、聞いてきたもの。経験したあらゆるものが、小学生だったときの机の中と同じくらい脳に詰め込まれていて、(そういえば私はたまにいつ返されたかわからないテストがぐちゃぐちゃになって出てきた)。それに関連したものを見ると、なぜかそこから今合うものを引き出して、想像することができます。

あのときに聞いたバイオリンの音色。あのときに見た船。あのときに嗅いだ薔薇の香り。
今私が思いつきで書いたことですら、読んでくださっている方は、無意識に頭に思い浮かべたのではないでしょうか。

そしてそれはたとえば100人いたら、100通りの「想像」があります。


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廃墟のような部屋を見て、何が起こったのかと想像するのも人によって違うはずです。

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もちろん実際に、そこに立体的にテーブルやベッドがあるわけですが、なんだかこの写真、デッサンのように見えませんか?
台の上に置かれていたものは何であったのか、本はどんな内容だったのか、燃えてこんなにも灰をかぶっているように見えるのに、なぜ布は燃えずに残っているのか。

実は解説には、映画『2001年宇宙の旅』(1968)に触発されて制作されたとあったのですが、映画を観ていないのでそれに関しては私はわかりませんでした。

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また、ベッドの裏にまわると、羽毛布団の中の羽が舞って積もった跡がありました。
ここにはかつて、豪華な部屋で、優雅に暮らす人がいたはずだと、想像することが出来ます。




「ゴールドレイン」

それを鑑賞しようとカーテンを開けると、何も見えませんでした。
恐るおそる暗闇を進むと、人の影の先に、金色に光る砂の様なものが落ちてくるのが見えました。

金箔と銀箔が天井から降り注いでいます。

細くおちることもあれば、大量におちてくることもある。
インスタグラムのストーリーズでは、映画「風の谷のナウシカ」に出てくる、腐海の砂のようで綺麗だと言う声も2名ほどいただきました。確かに。

「落下するもの」というのは、どちらかというと寂しいとか悲しいという負の感情を呼び起こします。けれども諸行無常とでもいいましょうか、キラキラと輝く様は、人の一生に見え、美しく、不思議と受け入れる気持ちになりました。



実は、見れていない作品が1つだけあります。それは「想像」という新作(2021年作)で、自由に鑑賞する事ができない作品でした。スタッフの方に声をかけると、ラスト17時、1枠だけ空きがありますとのことでしたが、その時間には帰らなければいけなかったため、断念しました。
そもそも暗闇がとても苦手なので、もしすぐに入れたとしても、勇気がなかったかもしれません。

私は1人ですが、誰かが一緒だったとしても、1人で入らなければならないとのことで、荷物、スマホ、指輪などの落としそうなアクセサリーはすべて預けるのだそうです。(落とすと見えないから)以下、作品の解説になります。

「暗闇のなかに1体の彫像が置かれている本作は、鑑賞者がいくら目をこらしても実態を見ることはできない。寒川と彫像家も本作を暗闇のなかで3ヶ月にわたって制作しており、また陳列においても誰一人その実体を見ていないという。存在するが、誰も見ることができない作品として、一人ひとりの想像の限界や可能性を問いかける展示となる。なお、本作は安全上、整理券が配布され、時間入れ替え制で入室して体験するかたちがとられている。」


通常、目がなれてくると人は暗闇でもうっすらと物を捉えることが出来る場合もありますが、この作品、まったく見えないそうです。


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この企画展のチケットで、常設展も見ることが出来ます。

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宮島達男氏のデジタルカウンター、ここではとても広い部屋で鑑賞します。

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空にボーダーが描かれているように見えます。
建物自体、ユニークな形をしているうえに、水が多く使われ、またこうして鏡のように空を映し出し、とても素敵です。
立ち止まれば、どんなものもアートになりうる。

みんな忙しいから、立ち止まろうと思わないと、立ち止まれないだけで。

東京都現代美術館・ユージーン・スタジオ「新しい海」展HP
 
 
 
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